かかとの痛み -シーバー病-
いつもホームページをご覧いただき、ありがとうございます!
以前、「膝(ひざ)の痛み」について書きましたが、
それと同様に サッカーをする成長期の子どもたちが、
ある年齢に差し掛かりますと、膝だけでなく
「踵(かかと)が痛い」
と訴えることも出てきます。

成長期の子どもたちの膝や踵は、なぜ痛くなるのでしょうか?
👇こちらもぜひご覧ください。
原因はいろいろありますが、
特徴は 対象者が、
身体の発育が著しい“成長期である子ども”に多いこと。
そして、
運動中、運動後(下肢を使った後)に痛みを訴えること。
さらに、注意して観ていますと、
痛みは「踵だけ」、「膝だけ」に限らず、
踵と膝、
さらには
踵と膝と腰につながる
ことが多々あります。
そして、痛みが出る子どもの特徴に
●動きにどこか ぎこちなさ があること
●下肢のストレッチをすると痛がる = 身体が硬い = 関節の可動域が狭い こと
などがあります。
前回の膝のところでも書きましたが、
整形外科に掛かりますと(多くの場合)は、
ひとまずレントゲンの撮影を行った後、
「原因は“成長痛”または“使いすぎ”」と診断され、
一般的な対処としては、
シップや、電気治療などで
「とりあえず安静にして、様子を見てください」
の一言で、終わるケースが多いです。
病名としては、
『シーバー病(またはセーバー病)』
という、
オスグッドに続き、これまた不思議な病名を告げられます。
そして、 スポーツは一定の期間禁止。
つまり、「休んで治す」ということです。
さらに、おおよそ“痛みの軽減策”として、
ヒールカップやインソールの装着の指示を受けます。

残念ながら、
これら全ては単純な対処療法であり、
やはり根本解決にはつながりません。
以前も書きましたが、
これがもし「成長痛」や「使いすぎ」だけが原因ならば・・・
同じ内容のトレーニングを行っている同年代のチームメイトも、
『全員がシーバー病になってしまう』はず
です。
やはりこれも膝(*オスグッド病)と同様、
現実には、「シーバー病になる子」と「ならない子」がいます。
では、このシーバー病とは一体何なのか・・・?
今回は、その原因などを探ります。
【シーバー病とは?】
シーバー病(セーバー病)は、
「踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)」や「踵骨骨端炎(しょうこつこったんえん)」
とも呼ばれています。
病名の由来は、アメリカの整形外科医(足病外科医)のジェームズ・ウォーレン・シーバー氏が
1912年に報告したことから、シーバー病となったようです。
踵骨骨端症の踵骨(しょうこつ)とは、漢字の通り「かかとのほね」に関係する症状です。
【シーバー病の症状】
踵骨という踵の骨の一部が炎症を起こすことで踵が痛くなり、
軽度では、走る時、走った後に痛みが出ます。
重度になってきますと、歩行が困難になることもあります。
その痛みは、アキレス腱が踵骨にくっつく部分、つまり“踵付近”に出ます。
シーバー病は、膝が痛くなるオスグット病と同様に、
スポーツをしている子どもがなりやすい代表的なスポーツ障害のひとつです。
年齢では、10~15歳ごろに発症しやすい時期となります。
これがオスグッド病と同様に、“成長痛”といわれる由縁でもあります。
【シーバー病の原因】
踵骨には、“アキレス腱”が付着しています。

スポーツの場面で、走ったり、ジャンプしたりしますと、
ふくらはぎ、または脛(すね)の筋肉が使われます。

つまり、足首を動かすことにより、
必然的に“アキレス腱”にかかる「張力」は大きくなります。
このアキレス腱にかかる張力が大きすぎると、
骨端核が上方に引っ張られます。
※骨端核につきましては、記事下の記述をご参照ください。
●主な要因
①ふくらはぎの筋肉の硬さ
②日常の環境
③ケガをしやすい身体の動かし方の問題(*姿勢を含む)
④トレーニング方法の問題
上記は、関係する筋肉、関節の違いはあれど、オスグッド病とほぼ同じです。
さらに・・・
『踵の痛みは、足の裏にも大きく関係』します。
正しく理解するには、簡単な踵周辺の身体構造を知っておく必要があります。
踵の骨には、ふくらはぎの筋肉だけでなく、足の裏の筋肉も繋がっています。

足底筋膜の牽引(ひっぱられること)によっても炎症が起こります。

「土踏まずが無い」ような足(*偏平足/へんぺいそく)の場合も
踵に負担がかかりやすくなる傾向があります。
『踵骨骨端症の約80%の人が、偏平足』
ともいわれています。
足の裏のことに関しましては、運動面はもちろん、
「立つ」、「歩く」等、日常生活の面においても非常に重要です。
このことにつきましては、当ホームページにおいても触れた記事がございます。
👆こちらもぜひご覧ください。
足の裏のことに関しましては、本当に重要なポイントになりますので、
また改めて書きたいと思います。
さらに押えておきたいことは、
大人と子どもの身体は同じところもありますが、
「違います」。(◎子どもは、決して小さな大人ではありません)
子どもの踵の骨をレントゲン撮影しますと、
“骨端核”と呼ばれる丸みを帯びた分裂した骨が写ります。
見た目は別々の(分かれた)骨のように見えますが、
骨端核の周りは軟骨の成分ですので、「レントゲンに写らないだけ」だそうです。
簡単に置きかけますと、
「踵部分が大人に比べて、弱く、柔らかい」
といえます。
そして(これが)、15から16歳頃に、「踵の骨」として癒合します。

「この痛みは何なの?」
「なんで急に踵が痛くなってきたの?」
「いつまでこの痛みと付き合っていくの?」
痛みが出始めた当初は、部位がどこであれ、不安はつきまといます。
シーバー病の改善は、
オスグッド病の回に説明しました内容と、ほぼ同様と考えましょう。
◎ふくらはぎの筋の緊張を解き、柔軟性を高める
◎成長期が原因(一過性のもの)とはいえない ⇒根本からの改善が必要
◎早期の発見、早期の対処の2点がなされれば、ほぼ確実に完治可能
このためシーバー病もオスグッド病と同様に「成長痛」と診断され
「成長が止まるまで治らない」と言われることも多いのですが・・・
成長が止まるまで、ひたすら痛みに耐え、
諸々の方法でごまかすことは、将来的にも大変危険なことです。
また一方で、“病”と書きますが、慌てるような大きな病気でもありません。
「なぜ痛むのか?」その原因を押え、
改善策(予防策)を確実に講じておくことが大切です。