こしの痛み -すべり症-
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さて、「腰」に関してのひとまずの最終章(まとめ)、
『すべり症』についてこのたびは考えたいと思います。
“人間” にとって腰は、重要な役割を果たしています。
腰が痛むことで、
人間は姿勢を維持すること、動くこと、
もっといえば立つことも困難をきたします。
そのことに関しましては、 前回の内容をご確認ください。
👇
前回確認した内容ですが、
腰椎には馬尾神経を入れた硬膜管が通っている孔があり、
これを“脊柱管”といいます。
「『すべり症』では腰椎がずれること」によって脊柱管が狭くなり、
馬尾神経や神経根が圧迫されて、その症状が出ます。
すべり症の症状の中で、最も顕著なものは腰痛です。
長時間立ちっぱなしだったり、重労働をした後に痛みが強くなります。
すべり症の原因は、先天性のものと後天性のものがあります。
先天性のものは生まれつきのもので、
椎体や椎弓の形態異常を認めることが多く、
高度なすべり症を生ずることがあり、注意を要します。
一方、後天性の多くは、
『子どものころに“スポーツなどでの繰り返し負荷”がかかったために、疲労骨折を起こしたもの』
と考えられています。
なかでも、バレーボール、バスケットボール、体操競技、サッカー、野球、柔道など、
腰を前後に曲げる、捻るといった動作が多い競技を育成年代に活発に行っていた場合に
発症しやすいです。
(*ただし、スポーツは原因のひとつであり、体質的な要素もあります)
【すべり症の種類と原因】
すべり症には5種類あります。
❶「分離すべり症」 ⇒ 分離症から2次的に発症する
❷「変性すべり症」 ⇒ 老化などによる骨の変性で発症する
③「形成不全すべり症」 ⇒ 生まれつき椎弓部の発育が不全により発症する
④「外傷性すべり症」 ⇒ 外傷(ケガ)などで発症する
⑤「病的すべり症」 ⇒ 悪性膿腫や感染などの骨破壊によって発症する
すべり症の原因は、主に3つあります。
1⃣「骨の変性や変形」
…骨折や捻挫などの外傷、椎間板機能の低下、姿勢の悪さ、骨密度の低下
2⃣「筋力の低下」
…肥満や運動不足、片寄った食生活
3⃣「筋肉の疲労」
…激しい運動・仕事での負担による筋肉への負担、姿勢の悪さ
👇 腰椎(腰骨)、背中側からの図
【すべり症とは?】
すべり症は脊椎(せきつい)同士がずれた状態を指しますが、
すべり症の多くは、上記❶の分離すべり症と❷の変性すべり症です。
椎間板の老化による不安定性が原因でずれたものを「変性すべり症(*❷)」と呼びます。
つまり、椎間板の変性により、脊柱管(せきちゅうかん)全体が狭くなるため、
馬尾(ばび)神経を圧迫し、症状が現れます。
腰椎変性すべり症の好発部位は第4腰椎で、
このたびメインで取り上げます、腰椎分離すべり症(*❶)のような「椎弓の分離はありません」。
加齢によって椎間板や椎間関節の変性が進み、
脊椎が緩んだ状態になり、第4腰椎の下関節突起部分が第5腰椎の上関節突起部分を少し乗り越えて前にズレることで、脊柱管が狭く(脊柱管狭窄症)なって、腰痛などの症状が発現します。
また、腰椎変性すべり症は女性の高齢者に好発し、
脊椎の安定に大切な椎間関節が形態的に弱い人に多く起こりやすいとされています。
症状としては、腰痛が主な症状ですが、
坐骨神経痛や間欠性跛行(かんけつせいはこう)の症状が現れることがあります。
◆間欠性跛行(かんけつせいはこう)とは?…歩行によって下肢痛やしびれ感が出現し、休むと軽快する症状。
このたび取り上げたいのは、運動による問題(スポーツ障害)です。
身体を動かすことによる腰痛は、なぜ生じるのでしょうか?
それは、腰椎分離症のタイトルのページで整理しましたので、再度ご確認ください。
▷対象の過去の記事をご参照ください…⇒ こしの痛み -腰椎分離症-
腰椎分離症は、好発年齢である10~15歳以降の発症は少なく、
さらに「腰椎分離症の“10~30%”が『分離すべり症』を発症する」といわれています。
【分離すべり症とは?】
分離症のなかで、後方部分の支持性がない(椎弓が分離した)ため、
椎体が前方にズレてくるものを「分離すべり症」と呼びます。
腰椎分離すべり症の好発部位は第5腰椎で、“椎弓の分離と椎体のすべり”が共に認められます。
若い頃は無症状の状態で、中高年になって腰痛の自覚症状が現れることがあります。
分離すべり症は繰り返す腰痛、または慢性的な腰痛と下肢痛をきたすことが多いです。
分離症で腰椎と関節突起が離れてしまいますと、その下の腰椎や仙骨とが、ズレやすくなります。
椎間板というクッション材が、椎骨と椎骨の間に仲介されてはいますが、
それだけではとても不安定です。
さらに筋肉や靭帯でも滑らないようには固定されますが、
分離した状態でさらに負荷が高くなれば・・・
靭帯や筋肉は云わば“許容オーバー”の状況になり、
(靭帯、筋肉)の本来の役割を果たすことができなくなっていきます。
その結果、椎骨(←腰の骨)が前方にずれてしまいます。(*前方すべり…上手参照)
後ろ側にずれてしまう、後方すべりの2種類がありますが、
「前方すべり」の症例が多いといわれています。
【症状の発生について】
分離症だけの場合は、症状が全く出ないこともあります。
しかし、『分離すべり症』になると、急激な腰痛となって現れることがあります。
さらには、下肢の痛みやしびれなど、腰痛以外の症状も出やすくなります。
また、徐々に痛みが増してきて、レントゲンを撮ったら分離症になっていたということもあります。
なかなか治まらない腰痛、
「腰を反らすと痛みが強い」
と訴えた時には、注意が必要です。
小学校高学年、中学生、高校生、成長期にある子どもで、
日常的にスポーツを活発に行い、腰痛のある方は
自分で判断せずに早目に医療機関を受診することが適切です。
成長期では気付かれずに、
成人してからたまたま腰のレントゲンを撮ったら、
“腰椎分離症”であったことが判明した、ということも多々あるようです。
【まとめ】
腰は、二足歩行する人間の身体の立つ、そして動く力を支える源ともいえます。
動作を行う際には、その動きのバランス調整を担い、
さらに、地面からの衝撃、上半身の体重も受け止めます。
したがって、腰に故障を抱えていると、当然のことながら身体の動きは整わなくなります。
その動きや姿勢の乱れが、脚に悪い影響を及ぼします。
そして、痛みが末端である踵、膝に出現します。
痛みの箇所に湿布を貼ったり、抗炎症剤を塗布したりすることで解消を図りますが・・・
実はその痛みの元は、末端部分ではなく『腰』が原因かも知れません。
先にも書きましたが、腰椎が分離(疲労骨折)していても痛みが生じず、過ごしている人もいます。
「腰を大切にする、腰を意識して動作を行うこと」は、重要です。
腰椎がズレてしまえば、それだけ筋肉にかかる負担も激増してしまいます。
さらに筋肉の拘縮(*筋肉が硬くなること)が進むと、さらに深刻です。
そうなる前に、しっかり対処しなければいけません。
筋肉や靭帯によって支えられている腰椎。
そこに関係する筋肉の柔軟性を維持し、
あらゆる動きや負荷にも対応できる状態にしておく必要があります。
腰椎まわりの筋肉である、脊柱起立筋、腸腰筋などはもちろんですが、
上半身の背筋群、臀筋群、太腿の筋肉(大腿四頭筋、ハムストリング)、
さらに、ふくらはぎの筋肉などもしっかりとした働きができるようにしておきます。
腰、背中など
“身体の中心の問題”は、末端(手、足)に出てくることが多い
ともいわれています。
また一般的に、
小学2年生から5年生ごろは「かかと」、
5・6年生ごろから中学生は「膝」、
中学生から高校生は「腰」、
という具合に成長する骨によって痛む部分が変わってきます。
これは成長期によって、(身体が)“大きく成長する部分”が違うからです。
ただ、成長痛には個人差があり、自然に痛みが消える場合もあれば、
無理をすればどんどん痛みが増し、成長期が終わってからも痛みが残る場合もあります。
しかし・・・
「成長痛は、誰しも通る道ではありません」。
年間、月間でしっかりスポーツ活動をしていても、成長痛が出ない人もいます。
それは、身体を理解し、正しい対策やケアを講じているからです。
痛みはどこから生じているのか
何が原因で痛むのか?
まず、『痛みの本当の元』を知ることが大切です。